肺高血圧検査・治療

肺高血圧とは

各臓器に酸素を供給した静脈血が心臓にもどり、再度肺へ酸素を受け取りに行くために肺動脈という血管内を流れます。その後、肺から酸素を受け取り、再度心臓に向かうために肺静脈という血管に入り、その後全身に血液を送るポンプとしての役割を果たす心臓より全身に酸素化された血液が送り出されます。

この肺へ向かう肺動脈もしくは肺から出た血液の向かう先である肺静脈、心臓に問題が生じると血液の流れが滞り、肺の血管内の圧力が高くなります。これにより血液に酸素を受け取るという正常な肺の機能に支障をきたし、息切れなどの症状を生じてくることをいいます。

肺高血圧の種類

  • 01

    慢性血栓塞栓性肺高血圧

    下肢の血流うっ滞などにより末梢の静脈に形成された血栓が血流に乗って肺動脈に捕捉されたり、他に何らかの原因によって肺動脈に血栓を生じた場合、多くは血流で洗い流されて、消退します。しかし、この血栓が捕捉された状態で溶けずに長期間経過すると器質化といって、血流や血栓を溶かす薬では溶けないような状態になります。この器質化した血栓が肺の広い範囲に形成されると、血流のうっ滞から肺高血圧の状態を呈し労作時息切れなどの症状を生じてきます。この病態を慢性血栓塞栓性肺高血圧といい、肺高血圧の一病型で厚生労働省が指定する難病の一つです。

治療の方法

治療法として薬で肺動脈を拡張し流れを良くするか、器質化した血栓を外科的に手術で取り除くか、バルーン(風船)で血液が流れる通り道を作る3通りの方法があります。この中でバルーンで血流の通り道を作る方法をバルーン肺動脈形成術といいます。

治療法としての歴史は浅く、大規模で長期的な成績は不足しており発展途上の治療といえますが、患者側の体の負担は手術よりも軽く、治療効果は薬物治療よりも大きいことがメリットとして挙げられます。合併症として肺動脈血管損傷による肺出血、喀血などがあります。

当院では2015年はじめよりこのバルーン肺動脈形成術を積極的に行っており、症例数、治療件数も増加傾向にあります。

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