心臓核医学検査・心臓CT検査

心臓核医学検査

心臓核医学検査とは

心臓核医学検査は、静脈に放射性同位元素(RI)を注射し、放出される放射線を撮影して、放射線量をコンピュータ処理して画像にし、心筋の血流やエネルギー代謝などをイメージングする検査です。1940年代から世界的に核医学の研究が進み、日本にRIが初めて輸入されたのは1950年、放射性医薬品が初めて厚生省に承認されたのは1959年です。 核医学検査は、大きな病院でしか出来ないため患者様の認知度は低いかもしれません。しかし実際は、50年以上の歴史をもち、医療が発達した現在においても、心筋梗塞、狭心症、心筋症の診断や治療方針を決定する点でゴールドスタンダードな検査です。

検査方法(負荷心筋シンチグラフィーの場合)

前日の夜から、カフェインを含むもの(コーヒー、紅茶、お茶全般、チョコレート、ガム)は禁止です。検査当日は、軽い朝食をとってください。来院したら点滴の針を刺し、放射性同位元素(RI)を注射します。検査台に仰向けで寝て30分ほど撮影します。そのあと、運動または薬剤によって心臓に負荷をかけます。3時間ほど間をあけて、仰向けとうつ伏せで2回目の撮影をします(30~40分)。2回目の撮影前には昼食をとっていただきます。所要時間は全部で5~6時間です。

(左)安静時の心筋血流をカラーで示したものです。赤やピンクになるのが正常です。正常所見です。

(右)負荷時の心筋血流をカラーで示したものです。安静時の所見と同様に、赤やピンクになっているので、負荷をかけても虚血が誘発されず正常です。

(左)安静時の心筋血流をカラーで示したものです。赤やピンクになるのが正常です。正常所見です。

(右)負荷時の心筋血流をカラーで示したものです。安静時と比較して黄色や緑の部分が多く、負荷によって心筋虚血が誘発されていると判断します。この患者様はこの後、心臓カテーテル検査で有意狭窄を認めたため、経皮的冠動脈形成術を行いました。

メリット・デメリット

メリット
  • カテーテル検査やカテーテル治療を行うべきかを判断できます。
  • 外来で施行可能です。
  • 注射は細い針でも施行可能なので、血管が細い方でも安心です。
  • 腎臓が悪い方や、不整脈(心房細動、心室期外収縮など)のある方でも受けられます。
デメリット
  • 検査時間が長いです。撮影時間は30~40分ですが、待ち時間が長いため全部で5~6時間かかります。注射をした翌日にも撮影をする場合があります。
  • ごくまれに、運動や薬剤で心臓に負荷をかけたことで、心筋梗塞や狭心症が誘発されることがあります。
  • 重度の喘息の方は、薬剤による負荷を行えません。その場合は運動による負荷を行います。

心臓CT検査

心臓CT検査とは

心臓CT検査は、静脈に造影剤を注入して、心臓にある冠動脈という血管を描出するのに特化した検査です。今までは心臓カテーテル検査でしか分からなかった冠動脈の走行、狭窄を評価することができます。心臓カテーテル検査と比べて低侵襲で、体の負担が少ない検査です。主に、狭心症の診断に有用ですが、その他にも心筋疾患や心臓腫瘍などの診断にも役立ちます。 CT検査は技術の進歩を受け、この20年間で大きく進化しました。得られる画像は鮮明になり、検査時間も短くなりました。今後もさらなる発展が期待できる分野です。ただ、腎不全や喘息の方は検査を受けられません。

検査方法(負荷心筋シンチグラフィーの場合)

検査の4時間前から絶食です。検査の2時間前に、脈拍をゆっくりにする薬を1錠飲みます。来院したら点滴の針を刺します。撮影の直前に冠動脈を広げるスプレーを口の中に噴射します。点滴の針から造影剤を注入して撮影します。検査時間は20~30分程度です。

(左)冠動脈全体が描出されています。
(中央・右)右冠動脈だけを抽出して画像処理したCTです。一番右の画像を見ると、冠動脈に狭窄がないことが分かります。

メリット・デメリット

メリット
  • きれいな画像が得られた場合は、カテーテル検査に匹敵する情報が得られます。
  • 外来で施行可能です。
  • 30分程度と検査時間が短いです。
デメリット
  • 腎臓が悪い方、重度の喘息がある方、造影剤アレルギーがある方は受けられません。
  • 不整脈(心房細動、心室期外収縮など)の方や動脈硬化がひどい方は、画質が低下することがあります。その場合は、期待された情報が得られない可能性があります。
  • 注射する針が太いので、血管が細い方は検査が出来ない場合があります。
  • ごくまれに、検査前の内服薬や口腔内スプレーで血圧が低下する場合があります。
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