末梢動脈疾患検査・治療

末梢血管カテーテル検査

末梢血管カテーテル検査の必要性

この検査は、心電図、胸部レントゲン写真等の一般の循環器検査では得られない末梢血管の情報を得るための検査です。最近は、CT検査、MRI検査等でかなり血管の状態がわかるようになってきましたが、本検査により正確な情報を得ることが正確な診断、治療方針決定のために必要となります。

検査の方法

局所麻酔をした後に細いカテーテルを通常は右手首あるいは右肘の動脈より挿入し、カテーテルを目的部位近くまですすめてそこから造影剤を流します。それにより正確な血管の情報が得られます。右手が何らかの理由で検査に適さない患者さんでは左手より行うこともあります。

また、透析を行っている患者さんやバイパス手術を行っている患者さん等では足のつけねの血管より施行することもあります。検査時間は30分から1時間程度ですが、病気の内容により長くなることもあります。

検査の内容

  • 01

    末梢血管造影

    足の動脈や腎臓の動脈の狭窄、閉塞が疑われる場合には、病変部位の近くまでカテーテルを誘導し造影検査を行います。

検査前後について

検査前について
検査数時間前の食事は出来ません。検査に行く前、または前日から点滴をします。足のつけねの血管より施行する場合は、検査中・検査後はトイレに行けないので検査前に尿道カテーテルを入れます。普段、服用している薬は中止することがあります。
検査後について
手から検査を行った場合には、専用のバンドで数時間圧迫しますが、それ以外に特殊な処置は必要ありません。足から行った場合には検査後はベッド上安静が必要です。6時間後、医師がカテーテル挿入部位を確認して、問題がないことを確認して歩行が可能です。検査終了時間によっては翌朝までベッド上安静が続きます。病状により翌日以後も点滴・服薬を続けます。

足関節上腕血圧比検査(ABI)

上腕下肢血圧比検査 (ABI)は、腕と足の血圧の比を計測することにより下肢の血流の程度を調べる方法です。0.9以下は閉塞性動脈硬化症等があることが疑われます。図に示す患者さんでは左足のABIは1.10と正常ですが、右足では0.49と低下しており、実際、右足の血管に高度の狭窄がみられました。

※右の画像はクリックで大きく表示します。

皮膚灌流圧検査(SPP)

レーザードプラ法を利用して毛細血管レベルでの血流を測定します。石灰化の影響を受けずに任意のポイントで測定することができます。糖尿病性足病変や重症虚血肢に対する末梢循環の評価に適しています。

末梢血管カテーテル治療

この治療は、下肢の血管や腎臓の血管の狭窄あるいは閉塞している箇所をバルーンカテーテルやステントで拡張する方法です。

末梢血管カテーテル治療の必要性

心臓を栄養する冠動脈が細くなれば、狭心症といって労作時や安静時に胸が痛くなり、完全に詰まってしまえば心筋梗塞になり30%の方が命をおとす重篤な状態となります。また、脳の血管が詰まってしまうと脳梗塞となり重症では半身不随となったり生命に危機がおよびます。

それと同様なことが足の血管にもおきるのが閉塞性動脈硬化症で、下肢(上肢は少ない)を栄養する動脈が高血圧、高脂血症、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)といった生活習慣病や加齢現象によっておこってくる動脈硬化により細くなったりつまってしまうことによって、足の先が栄養不足になり発生します。喫煙をしている患者さんはその頻度が数倍になることが明らかになっています。

栄養不足が軽い場合は、間歇性跛行といって歩いているうちにふくらはぎが重くなる程度ですが、ひどくなると重症虚血肢といって安静時にも痛みが持続し、進行すると足に潰瘍ができたり壊疽といって足が黒くなってしまうといった症状が出現します。最悪の場合には下肢の切断といった治療が必要となり、Quality of Lifeが著しくおちてしまいます。足に潰瘍や壊疽ができるような患者さんの5年生存できる率は50%程度といわれ、早期癌よりも生存率が悪い重篤な病気です。

治療の方法

カテーテルを通常は足のつけねあるいは左肘の動脈より挿入し、下肢や腎臓の血管の狭窄や閉塞をしている箇所にもっていきます。ガイドワイヤーと呼ばれる針金で狭窄や閉塞部を通過させた後バルーンカテーテルで拡張します。ほとんどの場合にはその後にステントを呼ばれる金属のチューブを留置します。

カテーテルが血管の壁にあたる時や、造影剤や薬を使った時、バルーンやステントを膨らませている時などに痛みなどの症状が出ることがありますが、一時的で心配いりません。 検査時間は1-2時間程度ですが、病気の内容により長くなることもあります。

治療の内容

  • 01

    バルーン形成術、ステント植え込み術

    血管の大きさが非常に小さい場合やステントが入らないような病変にはバルーン形成術のみで終了する場合もありますが、バルーンのみの場合には、再発(再狭窄)の割合が非常に高いため、ほとんどの場合にはステントを留置します。

治療前後について

検査前について
検査数時間前の食事は出来ません。検査に行く前、または前日から点滴をします。足のつけねの血管より施行する場合は、検査中・検査後はトイレに行けないので検査前に尿道カテーテルを入れます。普段、服用している薬は中止することがあります。
検査後について
手から検査を行った場合には、専用のバンドで数時間圧迫しますが、それ以外に特殊な処置は必要ありません。足から行った場合には検査後はベッド上安静が必要です。6時間後、医師がカテーテル挿入部位を確認して、問題がないことを確認して歩行が可能です。検査終了時間によっては翌朝までベッド上安静が続きます。病状により翌日以後も点滴・服薬を続けます。

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